Description of a work (作品の解説)
2007/01/02掲載
Work figure (作品図)
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ヴァージナルの前の二人(音楽の稽古)


(Paar aan het virginaal) 1662-1665年頃
73.6×64.1cm | 油彩・画布 | ウィンザー城王室コレクション

17世紀オランダ絵画の大画家フェルメール1660年代前半を代表する作品『ヴァージナルの前の二人(音楽の稽古)』。本作に描かれるのは、ルネサンス・バロック期の音楽においてよく使用された撥弦鍵盤楽器チェンバロ(英名ハープシコード)の小型版である≪ヴァージナル≫を演奏する若い女と、その隣で立つ男で、フェルメールの大きな特徴である柔らかで明瞭な光の描写と、計算された空間構成と構図によって表現される静謐な場面展開が見事な出来栄えである。ほぼ同時期に描かれた『二人の紳士と婦人』などに認められる空間構成上の課題点であった、透視法に則った描写によって発生する床面の歪みの不自然さを解消する為に、画面右側下半分へオリエンタル風の絨毯が掛けられる大きなテーブルが描かれている。またテーブルの上に乗せられる白磁器の水差しやヴァージナルの前の男女の間に置かれる青い椅子は、主に暖色が支配する本作の構図中で絶妙なアクセントとなっている。本作で女が演奏するヴァージナルには「音楽は喜びの伴侶、悲しみの薬」と銘文が記されており、アンドリース・リュッカーズの制作だと考えられるほか、登場人物である演奏者を真後から捉え描くことによって、観る者へ自然と、本作の中に入り込むような感覚を与えることに成功している。なお男の解釈については恋人説や音楽教師など様々な説が唱えられるも、確証を得るには至っていない。画中画としておそらくユトレヒト・カラヴァジョ派の画家の≪ローマの慈愛(キモンとペロ)≫が画面右端に掲げられている。


【全体図】
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ヴァージナルを演奏する女。本作は、≪ヴァージナル≫を演奏する若い女と、その隣で立つ男を描いた風俗画で、フェルメールの大きな特徴である柔らかで明瞭な光の描写と、計算された空間構成と構図によって表現される静謐な場面展開が見事な出来栄えである。



【ヴァージナルを演奏する女】
演奏する女の隣に立つ男。本作で女が演奏するヴァージナルには「音楽は喜びの伴侶、悲しみの薬」と銘文が記されており、アンドリース・リュッカーズの制作だと考えられるほか、登場人物である演奏者を真後から捉え描くことによって、観る者へ自然と、本作の中に入り込むような感覚を与えることに成功している。



【演奏する女の隣に立つ男】
床面の歪みの不自然さを解消する為に配されたテーブル。ほぼ同時期に描かれた『二人の紳士と婦人』などに認められる空間構成上の課題点であった、透視法に則った描写によって発生する床面の歪みの不自然さを解消する為に、画面右側へオリエンタル風の絨毯が掛けられる大きなテーブルが描かれている。



【不自然さを解消するテーブル】

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