Description of a work (作品の解説)
2009/03/09掲載
Work figure (作品図)
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聖具泥棒

 (Furto sacrilego) 1731年
寸法不明 | 油彩・画布 | 大司教美術館(ミラノ)

18世紀にミラノやジェノヴァで活躍したイタリアの画家アレッサンドロ・マニャスコを代表する作品のひとつ『聖具泥棒』。本作はパヴィア県シツィアーノのサンタ・マリア・カンポモルト聖堂で実際に起こったとされる犯罪と奇跡的出来事を画題に、同聖堂への奉納画(エクス・ヴォート)として制作された作品である。本作に描かれるのは、1731年1月6日にサンタ・マリア・カンポモルト聖堂へ泥棒が押し入り、典礼(ミサ)等で使用されていた同聖堂の聖具を盗み出そうと試みるが、聖母マリアが天上から現れ、周囲の墓地に埋葬される死者(骸骨)を指揮し泥棒を追い払ったとする場面で、荒涼とした墓場のおろどおどろしい異様な雰囲気の表現や盗人たちと骸骨らのダイナミックな戦闘が大きな見所のひとつである。画面右上には、天上から降臨する光に包まれた聖母マリアが、聖堂へと侵入した泥棒を追い払おうと墓場に埋葬される骸骨を指揮している姿が配されている。画面下部では梯子を担ぎながら逃げ惑う泥棒たちと、松明などを手にする無数の骸骨たちが争う姿が入り乱れるように描き込まれており、否が応にも観る者をこの異様な世界へと引き込むのである。さらに本作で注目すべき点は、しばしば「踊るような」と形容される素早く動かされた独自的な線描や筆触と暗部を強調した光彩・色彩表現にある。特に盗人や骸骨の力強さと危うさを同時に感じさせる肉体(人体)描写や誇張気味の運動性、松明の弱々しい光によって暗闇の中に浮かび上がる各構成要素の幻覚的な表現は、マニャスコの絵画作品の特徴をよく示しており、それ故、いつの時代も画家の代表作のひとつとして挙げられる。なお本作は当初、サンタ・マリア・カンポモルト聖堂に置かれていたが、現在は安全上の理由からミラノの大司教美術館が所蔵している。


【全体図】
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逃げ惑う盗人(泥棒)たち。画面下部に描き込まれる梯子を担ぎながら逃げ惑う泥棒たちと、松明などを手にする無数の骸骨たちが入り乱れるように争う姿は、否が応にも観る者をこの異様な世界へと引き込むのである。



【逃げ惑う盗人(泥棒)たち】
泥棒を追い払う骸骨の姿。盗人や骸骨の力強さと危うさを同時に感じさせる肉体(人体)描写や誇張気味の運動性、松明の弱々しい光によって暗闇の中に浮かび上がる各構成要素の幻覚的な表現は、マニャスコの絵画作品の特徴をよく示している。



【泥棒を追い払う骸骨の姿】
天上から骸骨を指揮する聖母マリア。本作は、1731年1月6日にサンタ・マリア・カンポモルト聖堂へ泥棒が押し入り、典礼等で使用されていた同聖堂の聖具を盗み出そうと試みるが、聖母マリアが天上から現れ、周囲の墓地に埋葬される死者(骸骨)を指揮し泥棒を追い払ったとする犯罪と奇跡的出来事である。



【天上から骸骨を指揮する聖母マリア】

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