Description of a work (作品の解説)
2009/08/04掲載
Work figure (作品図)
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リドット(賭博場)

 (Ridotto) 1757-60年頃
60×48cm | 油彩・画布 | クエリーニ・スタンパリア美術館

18世紀ヴェネツィアを代表する偉大なる風俗画家ピエトロ・ロンギの典型的な作品のひとつ『リドット(賭博場)』。本作は当時のヴェネツィアに存在していた娯楽場≪リドット(賭博場)≫の光景を描いた風俗画作品で、同画題の作品(又はヴァリアント)が複数存在していることからピエトロ・ロンギ自身の本画題に対する強い関心を見出すことができる。画面中央には伝統的な仮面衣装≪黒外套(バウッタ)≫を身に着けた男が、扇子を手にした身なりの良い若い女性を口説いている姿が描かれており、やや顔を背けつつも満更でもなさそうな若い女の態度に男女の甘美な駆け引きが感じられる。そして画面左側にはその光景を傍観する緑色の衣服を身に着けた男が配されている。さらに画面奥では黒外套(バウッタ)を身に着けたもうひとり男が、赤いショールと黒仮面(モレッタ)で姿を隠した女性に声をかけており、もうひとつの世俗的光景が示されている。画面右端へ目を向けると、本舞台の主目的でもあるカード賭博に興ずる(おそらくは高い身分の)男たちが、傍らでおこなわれる男女の駆け引きに脇目も振らず、カードへと視線を集中させている(さらに床には数枚カードが散らばっている)。本作で最も注目すべき点は、凝縮された空間・画面構成による世俗性豊かな人物の性格的描写にある。60×48cmと小画面を活かした距離の近い密接な人物の配置による、賭博場の不道徳的雰囲気や社会的問題性への風刺を感じさせる描写は、当時の様子がありありと観る者へ伝わってくる。

関連:ヴァリアント 『リドット(賭博場)』


【全体図】
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賭博場で繰り広げられる男女の駆け引き。画面中央には伝統的な仮面衣装≪黒外套(バウッタ)≫を身に着けた男が、扇子を手にした身なりの良い若い女性を口説いている姿が描かれており、やや顔を背けつつも満更でもなさそうな若い女の態度に男女の甘美な駆け引きが感じられる。



【繰り広げられる男女の駆け引き】
男女の姿を傍観する男。本作は当時のヴェネツィアに存在していた娯楽場≪リドット(賭博場)≫の光景を描いた風俗画作品で、同画題の作品(又はヴァリアント)が複数存在していることからピエトロ・ロンギ自身の本画題に対する強い関心を見出すことができる。



【男女の姿を傍観する男】
熱心にカード賭博に興ずる男たち。凝縮された空間・画面構成と小画面を活かした距離の近い密接な人物の配置による、賭博場の不道徳的雰囲気や社会的問題性への風刺を感じさせる描写は、当時の様子がありありと観る者へ伝わってくる。



【熱心にカード賭博に興ずる男たち】

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