Description of a work (作品の解説)
2009/09/14掲載
Work figure (作品図)
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ジョヴァンナ・バチェッリの肖像


(Portrait of Giovanna Baccelli) 1782年展示
226.7×148.6cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー

18世紀イギリス美術界の最も重要な画家のひとりトマス・ゲインズバラを代表する肖像画作品のひとつ『ジョヴァンナ・バチェッリの肖像』。本作は第3代ドーセット公爵ジョン・フレディック・サクヴィルの依頼により、同氏の愛人であったヴェネツィア出身でロンドンのキングス・シアターの看板バレリーナ(ダンサー)≪ジョヴァンナ・バチェッリ(本名ジョヴァンナ・フランチェスか・アントニオ・ジュゼッペ・ザネリーニ)≫の姿を描いた肖像画作品で、1782年にロイヤル・アカデミーへ展示されたことが知られている。画面中央に配されるジョヴァンナ・バチェッリは麗しく魅惑的な笑みを浮かべながら身に着けた舞台用の衣服の端を左手に持ち、観る者へと視線を向けている。斜めに構えた動きのある姿態はジョヴァンナ・バチェッリのバレリーナとしての個性を的確に示すだけでなく、彼女の愛らしい性格的側面をも見事に表現することに成功している。さらに動きのある姿態によって衣服には皺が入り艶やかな光沢のある素材感を効果的に見せている。本作で最も注目すべき点は当時の批評でも取り上げられた空気のように軽やかで瑞々しい筆触と色彩表現にある。当時の油彩技法としては非常に薄く重ねられた筆触は、まるで水彩技法を思わせるほど透明感に溢れ、さらに素早く動かされた細かい筆触がそこに類稀な軽快性を与えている。これらの表現はゲインズバラ独自の様式の最も大きな特徴のひとつであり、その円熟した技法が本作には良く示されている。


【全体図】
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魅惑的な笑みを浮かべるジョヴァンナ・バチェッリ。本作は第3代ドーセット公爵ジョン・フレディック・サクヴィルの依頼により、同氏の愛人であったヴェネツィア出身でロンドンのキングス・シアターの看板バレリーナ≪ジョヴァンナ・バチェッリ≫の姿を描いた肖像画作品である。



【魅惑的な笑みを浮かべるバチェッリ】
バレリーナとしての印象を観る者に与える姿態。斜めに構えた動きのある姿態はジョヴァンナ・バチェッリのバレリーナとしての個性を的確に示すだけでなく、彼女の愛らしい性格的側面をも見事に表現することに成功している。



【バレリーナとして個性を示す姿態】
素早く動かされた細かい筆触。当時の油彩技法としては非常に薄く重ねられた筆触は、まるで水彩技法を思わせるほど透明感に溢れ、さらに素早く動かされた細かい筆触がそこに類稀な軽快性を与えている。



【素早く動かされた細かい筆触】

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