Description of a work (作品の解説)
2004/09/23掲載
Work figure (作品図)
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聖会話とペーザロ家の寄進者たち(ペーザロ家祭壇画)


(Sacra conversazione con i donatori Pesaro (Pala Pesaro))
1519-1526年
485×270cm | 油彩・画布 | Santa Maria Gloriosa dei Frari

1519年、パーフォの司教であったヤコポ・ペーザロが、フラーリ聖堂内に置かれるコンチェツィオーネ同信会の礼拝堂のために制作を依頼し、実に7年もの歳月を経て完成することになった、ティツィアーノが手がけた代表的な祭壇画『聖会話とペーザロ家の寄進者たち』。依頼主の名前から『ペーザロ家祭壇画』とも呼ばれている本作の主題は、画面中に聖母子と聖人を配する≪聖会話≫だが、通常、真正面向きに描かれる聖会話を、ティツィアーノは聖母子を右斜め上に、諸聖人をその対角線上(左斜め下)に配するという、今までにないダイナミックな構図で描き、主題の新たな表現方法を示した。主題≪聖会話≫で最も重要な人物である聖母子を、真正面ではなく、右斜め上に配することによって、画面の中に動きが生まれ、この場面の臨場感をより強調している。また幼児キリストと会話をしている人物は、手に聖痕が刻まれている聖フランチェスコである。本作には、ヤコポ・ペーザロが教皇軍の司令官としてサンタ・マウラでの戦いに勝利し、殊勲を得たことの象徴として、トルコ人捕虜と、ペーザロ家の紋章で飾られた戦勝旗を掲げる戦士(ペーザロの部下)が描かれた。さらに本作中に幾世代ものペーザロ家の一族が登場するのは、一族の繁栄を意味し、こちらを向く一番若い少年は、一族が宗教的に特権階級の位置にいることを示している。


【全体図】
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玉座に腰を据える聖母マリアと幼子キリスト。主題≪聖会話≫で最も重要な人物である聖母子を、真正面ではなく、右斜め上に配することによって、画面の中に動きが生まれ、この場面の臨場感をより強調している。また幼児キリストと会話をしている人物は、手に聖痕が刻まれている聖フランチェスコ。



【聖母マリアと幼子キリスト】
書物を広げヤコポ・ペーザロの方を向く聖ペテロ。禿頭、あるいは頭頂部を剃った姿で描かれる聖ペテロは、元々ガリラヤの漁師であったが、弟のアンデレと共にキリストの最初の弟子となる。それ故キリスト十二弟子の筆頭とされ、キリストの死後は、エルサレム教会の基礎を固め、福音の宣教に尽力を尽くすが、最後はローマでネロの迫害により殉教した。またカトリック教会では初代教皇とされている。



【ペーザロの方を向く聖ペテロ】
聖母子と聖ペテロの前で跪く依頼主のヤコポ・ペーザロは、本作を奉納する以前にも、ティツィアーノに同聖堂への奉納する絵画を注文していたと記録に残っている。



【跪くヤコポ・ペーザロ】
戦士とトルコ人捕虜。この場面には、ヤコポ・ペーザロが教皇軍の司令官としてサンタ・マウラでの戦いに勝利し、殊勲を得たことの象徴として、トルコ人捕虜と、ペーザロ家の紋章で飾られた戦勝旗を掲げる戦士(ペーザロの部下)が描かれた。



【戦士とトルコ人捕虜】
幾世代の男性で構成されるペーザロ家の一族。幾世代ものペーザロ家の一族が登場するのは、一族の繁栄を意味し、こちらを向く一番若い少年は、一族が宗教的に特権階級の位置にいることを示している。



【ペーザロ家の一族】

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