Description of a work (作品の解説)
2004/09/24掲載
Work figure (作品図)
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受胎告知

(Annunciazione) 1559-1564年頃
403×235cm | 油彩・画布 | Church of San Salvador

70歳を超えてなおティツィアーノの豊かな想像力が描き上げた大作『受胎告知』。主題は祭壇画の典型である≪受胎告知≫の場面を描いたものだが、ティツィアーノは画面の中でやや右よりに光彩を置き、人物に当てられる光の加減を前バロックとも呼べる劇的な効果でドラマティックに表現した(ルネサンス以降、三位一体の考えでは、白い鳩は三位の一部である聖霊が変化したものだとされ、本作では受胎告知が神の意志であることを示す神の代理人として描かれたと考えられている)。また多少頭身の高い人物を描くなどマニエリスム的な要素も含まれており、画家の年齢を重ねるごとに変貌していった作風を研究する上でも、重要な作品と言える。本作を描く前にティツィアーノは幾つものデッサンや習作を残しており、そこで練られた構想、例えば場面を取り巻く建築物の秩序高い整然とした構造(画面中左側の縦溝彫り石柱)など、至る部分で伝統様式に支配されず、独自の解釈と衰えない高い技術で示された、画家独特の表現が見られる。ティツィアーノは聖告の突然性をドラマティックに表現するため、直前まで読んでいたことを予測させる要素として、聖母マリアの手に祈祷書を持たせた。また神の使者として描かれる大天使の翼は、完成当初、深い青色(又は藍色)で描かれたことが判明しており、色彩の配置方法などにティツィアーノ(とヴェネツィア派)ならではの色彩的特長が見られる。なお余談になるが受胎告知を主題にした作品は、本作より一回りほど小さいが、1557年にも制作されており、その作品はナポリのサン・ドメニコ・マッジョーレ聖堂に置かれている。


【全体図】
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受胎を告げられる聖母マリア。ティツィアーノは聖告の突然性をドラマティックに表現するため、直前まで読んでいたことを予測させる要素として、聖母マリアの手に祈祷書を持たせた。



【受胎を告げられる聖母マリア】
聖胎を告知する大天使ガブリエル。神の使者として描かれる大天使の翼は、完成当初、深い青色(又は藍色)で描かれたことが判明しており、画面中には色彩の配置方法などティツィアーノならではの色彩的特長が見られる。



【大天使ガブリエルの姿】
三位一体の一部、白い鳩。ルネサンス以降、三位一体の考えでは、白い鳩は三位の一部である聖霊が変化したものだとされ、本作では受胎告知が神の意志であることを示す神の代理人として描かれたと考えられている。



【三位一体の一部、白い鳩】

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