Description of a work (作品の解説)
2006/06/12掲載
Work figure (作品図)
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神秘の降誕

 (Natività mistica) 1501年
108.5×75cm | テンペラ・板 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

フィレンツェ派最大の巨匠サンドロ・ボッティチェリ晩年の代表作『神秘の降誕』。ローマのアルドブランディーニ家が旧蔵し、現在はロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵する本作に描かれる主題は、神の子イエスが聖胎した聖母マリアの御身体から現世に生まれ出た神聖なる場面≪キリストの降誕≫であるが、本作においては主題よりも、老いたボッティチェリがサヴォナローラからの宗教的影響を受け孤立した存在ゆえの激しい感情に満ちた表現に注目したい。画面上部にはギリシア語で謎めいた銘文が以下の内容で記されている。「私アレッサンドロはこの絵画を1500年の末、イタリアの混乱の時代、ひとつの時代とその半分の時代の後、すなわち聖ヨハネ第11章に記される3年半の間悪魔が解き放たれるという黙示禄の第2の災いの時に描いた。そして悪魔はその後、第12章で述べられるよう鎖につながれこの絵画のように≪地に落とされる≫のを見るのであろう」。この銘文は友愛の精神と祈りによって罪悪が裁かれることを意味しており、画面全体を支配する激しい感情性や宗教的古典表現などの多様性は、フィレンツェ派の中で孤高の画家となったボッティチェリの内面における瞑想の表れである。なお本作は画家の作品中、唯一年記がされる作品でもある。


【全体図】
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降誕した神の子イエスに祈りを捧げる聖母マリア。ローマのアルドブランディーニ家が旧蔵し、現在はロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵する本作に描かれる主題は、神の子イエスが聖胎した聖母マリアの御身体から現世に生まれ出た神聖なる場面≪キリストの降誕≫である。



【イエスに祈りを捧げる聖母マリア】
降誕した主イエスと傍らの東方三博士。本作の硬質的で神経質な表現は、過去の画家の牧歌的かつ大らかな人文主義的印象は感じられず、ボッティチェリの精神的な孤独感(孤立感)が支配しているようである。



【降誕した主イエスと傍らの東方三博士】
神の子イエスの降誕を祝福する天使たち。画家の作品中、唯一年記がされる作品である本作の画面全体を支配する激しい感情性や宗教的古典表現などの多様性は、フィレンツェ派の中でサヴォナローラからの宗教的影響を受け孤高の画家となったボッティチェリの内面における瞑想の表れである。



【神の子イエスの降誕を祝福する天使】
神の子イエスの降誕を祝福する天使たち。画家の作品中、唯一年記がされる作品である本作の画面全体を支配する激しい感情性や宗教的古典表現などの多様性は、フィレンツェ派の中でサヴォナローラからの宗教的影響を受け孤高の画家となったボッティチェリの内面における瞑想の表れである。



【ギリシア語で記された謎めいた銘文】

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