Description of a work (作品の解説)
2006/04/29掲載
Work figure (作品図)
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サン・マルコ祭壇画(聖母戴冠と4聖人)

 1483年
(Pala di san Marco (Incoronazione della Madonna e quattro santi))
378×258cm | テンペラ・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

ボッティチェリの最も有名な祭壇画作品のひとつ『サン・マルコ祭壇画(聖母戴冠と4聖人)』。フィレンツェのサン・マルコ修道院内サンタロー(金銀細工師組合)礼拝堂のために制作された本作は、聖母マリアが昇天後、父なる神より冠を授かる聖母マリア史上で重要な場面≪聖母戴冠≫に、福音書記者聖ヨハネ、聖アウグスティヌス、聖ヒエロニムス、鍛冶組の守護聖人としても知られている聖エリギウス、そして複数の天使達が配されている。この主題となる聖母マリアや父なる神、諸聖人を大きく描く伝統的な人物描写が用いられた本作では、写実的な表現を用いながらも場面の雰囲気や世界観などは明瞭な色彩も手伝って極めて幻想性に富んでおり、画家ボッティチェリの様式のみならずルネサンス芸術におけるひとつの頂点を成す重要な作品と捉えることができる。本作はヴァザーリの美術家列伝など当時の書物にも記されるよう制作当時から相当な著名作品であったが、サン・マルコ修道院サンタロー礼拝堂から司際室、アカデミア美術館など様々な環境を経てウフィツィ美術館に収蔵された経緯を持ち、長い歳月によって一時は剥離など著しく損傷を被ったものの1921年にファブリツィオ・ルカリーニによる約10年間の修復作業や1989年のフォルテッツァ・ダ・バッソのピエトレ・ドゥーレ工房による修復によって現在の状態まで回復した。また1921年の修復の際に本作における最も特徴的な戴冠部分の複雑は維持することができるも、剥落した天使部分の色彩を緑色に塗り替えるなど画面の変形や、ボッティチェリ独特の運動性は損なわれてしまったと言われている。なお極めて写実性に富んだサン・マルコ祭壇画のプレデッラ部分が同美術館に所蔵されている。

関連:サン・マルコ祭壇画 プレデッラ部分


【全体図】
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聖母マリアへ冠を授ける父なる神。フィレンツェのサン・マルコ修道院内サンタロー(金銀細工師組合)礼拝堂のために制作された本作は、聖母マリアが昇天後、父なる神より冠を授かる聖母マリア史上で重要な場面≪聖母戴冠≫に、4人の聖人と複数の天使達が配されている。



【聖母マリアへ冠を授ける父なる神】
父なる神より受冠される聖母マリア。主題となる聖母マリアや父なる神、諸聖人を大きく描く伝統的な人物描写が用いられた本作では、写実的な表現を用いながらも場面の雰囲気や世界観などは明瞭な色彩も手伝って極めて幻想性に富んでおり、画家ボッティチェリの様式のみならずルネサンス芸術におけるひとつの頂点を成す重要な作品と捉えることができる。



【父なる神より受冠される聖母マリア】
天上を見上げる福音書記者聖ヨハネの姿。本作は長い歳月によって一時は剥離など著しく損傷を被ったものの1921年にファブリツィオ・ルカリーニによる約10年間の修復作業や1989年のフォルテッツァ・ダ・バッソのピエトレ・ドゥーレ工房による修復によって現在の状態まで回復した。



【天上を見上げる福音書記者聖ヨハネ】
執筆する聖アウグスティヌス。ラテン教会四大博士のひとりとして知られる4世紀にヌミディアのタガステ生まれた聖アウグスティヌスは聖三位一体論など数多くの執筆をおこなっており、11世紀には聖アウグスティノ会が発足されるほど信仰を集めた。



【執筆する聖アウグスティヌス】
天上に向かい信仰を見せる聖ヒエロニムス。聖書の教会公認ラテン語訳であるウルガタを完成させるほか教皇秘書をも務めた聖書学者で、聖アウグスティヌス同様ラテン教会四大博士のひとりとして知られる聖ヒエロニムスは、キリスト教を代表する聖人として人々より多くの尊敬と信仰を得ている。



【信仰を見せる聖ヒエロニムス】
6世紀から7世紀にリムーザン地方シャプトラの貧しい家に生まれた聖エリギウスは当時の国王の為に黄金の鞍を制作するなど優れた金細工師で、司教に就任後は数多くの聖遺物箱を手がけた。また鍛冶組の守護聖人としても知られている。



【鍛冶組の守護聖人聖エリギウス】

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