Description of a work (作品の解説)
2009/11/04掲載
Work figure (作品図)
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プットーを売る女(クピドの行商人)


(Marchande d'amours) 1763年 | 98×122cm
油彩・画布 | フォンテーヌブロー宮国立美術館

18世紀フランスの画家ジョゼフ=マリー・ヴィアンの代表作であり新古典主義的絵画の最も重要な作品のひとつ『プットーを売る女(クピドの行商人)』。画家が1763年に制作し、同年のサロン出品時には批評家たちから多くの称賛の声を受けたことが伝わっている本作は、古代ローマ期にナポリ近郊グラニャーノの遺跡から発掘された壁画を版画家ノリーが写した銅版画に基づいて制作された作品で、高貴な女性へ行商人がローマ神話における愛の神アモル(英語名ではキューピッド。ギリシア神話上のエロスと同一視される)を売る場面が内容として描かれている。画面左側には羽をつまみながら籠からクピドを取り出し、高貴な婦人の前へ差し出す行商人が配され、画面中央のガラスの花瓶や煙が立ち昇る香炉を経由して、画面右側には取り出されたクピドへ興味深く視線を送る上品で裕福そうな身なりの女性と、付き人の女が描き込まれている。登場人物が身に着ける衣服は全て当時の考古学に基づいた古代的衣服であり、また背景に示される支柱などの建築様式も古代建築の模写であることが認められる(ただし家具などはルイ16世様式で描かれるなど一部には折衷的な展開が示されている)。構図的にはグラニャーノ遺跡の壁画を左右反転させそのまま流用しており、垂直と水平が強調された極めて安定的で厳格な場面展開であるものの、作品からは簡素的で軽妙な雰囲気や表現も感じることができ、それらの特徴を併せ持つ本作は、新古典主義の萌芽的存在、そして最も早い新古典主義の傾向が示される作例のひとつとして今も重要視されている。


【全体図】
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クピドを興味深く見つめる美しい女性。画家が1763年に制作し、同年のサロン出品時には批評家たちから多くの称賛の声を受けたことが伝わっている本作は、古代ローマ期にナポリ近郊グラニャーノの遺跡から発掘された壁画を版画家ノリーが写した銅版画に基づいて制作された作品である。



【クピドを興味深く見つめる女性】
クピドの羽を掴み差し出す行商人。左側には羽をつまみながら籠からクピドを取り出し、高貴な婦人の前へ差し出す行商人が配され、中央のガラスの花瓶や煙が立ち昇る香炉を経由して、右側には取り出されたクピドへ興味深く視線を送る上品で裕福そうな身なりの女性と、付き人の女が描き込まれている。



【クピドの羽を掴み差し出す行商人】
高貴な女性の前に差し出されるクピド。登場人物が身に着ける衣服は全て当時の考古学に基づいた古代的衣服であり、また背景に示される支柱などの建築様式も古代建築の模写であることが認められる(ただし家具などはルイ16世様式で描かれるなど一部には折衷的な展開が示されている)。



【高貴な女性の前に差し出されるクピド】

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