Description of a work (作品の解説)
2007/02/16掲載
Work figure (作品図)
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手紙を書く女

 (Briefschrijvende vrouw) 1665-1666年頃
45×39.9cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

オランダ絵画黄金期の風俗画家ヨハネス・フェルメール作『手紙を書く女』。おそらくは1665年から1666年頃に描かれたと推測される本作に描かれるのは、この頃の画家がしばしば描いた、女性の日常生活の一場面を捉え表現した単身像風俗画作品のひとつで、フェルメールの作品で最も多く描かれている襟元、袖口に斑点模様の毛のついた黄色の衣服を身に纏う女性が手紙を書きながら、意味深げに観者を見つめる姿が非常に印象的である。主題・構成などの類似点が認められることから多くの研究者が17世紀オランダの風俗画家ヘラルト・テル・ボルフの『手紙を書く女』の影響を指摘している本作では、柔らかく温もりを感じさせる画家独特の光の表現や、背後の壁と溶け合うかのような輪郭の描写など、これまでのフェルメールの技巧的特徴も示されているが、観る者との直接的な意思の接合を感じさせる女の視線など、これまでに見られない、露骨な画家の意図的特徴も示されている。また女の背後に描かれる画中画はバスケニス、又はファン・デル・メーレン、ヴィオラ・ダ・ガンバの手によると考えられる、人生の無常や儚さを表現したヴァニタス画『バス・ヴィオールと頭蓋骨のある静物』らしき作品が掛けられていることも注目すべき点のひとつである。なお一段と明瞭になる光の加減や装飾的描写など、さらに技巧的な様式の変化を示す、本場面のその後を描いたかのような作品『手紙を書く女と召使(フリック・コレクション所蔵)』が1667-1668年頃に制作されている。

関連:ヘラルト・テル・ボルフ作 『手紙を書く女』
関連:フリック・コレクション所蔵 『手紙を書く女と召使』


【全体図】
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薄い笑みを浮かべ観る者を見つめる手紙を書く女。本作に描かれるのは、女性の日常生活の一場面を捉え表現した単身像風俗画作品のひとつで、フェルメールの作品で最も多く描かれている襟元、袖口に斑点模様の毛のついた黄色の衣服を身に纏う女性が手紙を書きながら、意味深げに観者を見つめる姿が非常に印象的である。



【観る者を見つめる手紙を書く女】
明確な皺の明暗。多くの研究者がヘラルト・テル・ボルフの『手紙を書く女』の影響を指摘している本作では、これまでのフェルメールの技巧的特徴も示されているが、観る者との直接的な意思の接合を感じさせる女の視線など、これまでに見られない、露骨な画家の意図的特徴も示されている。



【明確な皺の明暗】
テーブルの上で書かれる手紙。一段と明瞭になる光の加減や装飾的描写など、さらに技巧的な様式の変化を示す、本場面のその後を描いたかのような作品『手紙を書く女と召使(フリック・コレクション所蔵)』が1667-1668年頃に制作されている。



【テーブルの上で書かれる手紙】

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