Description of a work (作品の解説)
2007/02/09掲載
Work figure (作品図)
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絵画芸術

 (De schilderkunst) 1666-1667年頃
120×100cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館

17世紀オランダ絵画黄金期の巨匠フェルメール中期を代表する大作『絵画芸術』。画家の作品の中でも特に大きな画面で制作された本作は、右手に名声を象徴するトランペットを、左手に歴史を象徴する書物を、そして頭に月桂樹の冠を被るというチェーザレ・リーバ著≪イコノロギア≫に記される歴史の女神クリオに扮した女性を画家がアトリエで描く場面という、所謂≪画家のアトリエ≫を題材にした作品で、本主題≪画家のアトリエ≫は当時のネーデルランドではよく描かれた主題であるも、この頃のフェルメールの作品には殆ど見られない、明らかな寓意が込められているのが最大の特徴である。あくまでもフェルメールらしい日常的な室内風景を感じさせる本作ではあるが、この寓意に関しては一般的に、画家という自らが携わる職業に対する礼讃的な寓意や、絵画という芸術に対する礼讃的な寓意であると解釈されているほか、細部に注目すると本作の画家(一説にはフェルメール自身と解釈される)が歴史の女神クリオが被る月桂樹の冠から描いていることや、女性の前に配される机上の仮面、掛け布、巨大な書物も何らかの寓意が込められていると推測される。また画面左部に大きくかかるカーテンに見られる光の粒は、画家の代表作『牛乳を注ぐ女』のパンに示されるようなポワンティエ技法(点綴法)による圧倒的な質感表現から、より表層的で装飾的な点描表現へと技巧的、表現的な変化をみせている。フェルメールが没するまで所有していたことから、画家の作品の中でも特に重要な作品であったことがわかる本作は、第二次大戦時にヒトラーのためにナチスが購入し、終戦後は、一時ワシントンに保管されていたも、1946年にウィーン美術史美術館へと移管された来歴をもつ。なお歴史の女神クリオに扮する女性の背後に掛けられる地図は、アムステルダムの地図製作者ニコラス・フィッシェルの作だと考えられている。


【全体図】
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モデルを前に絵画を描く画家。画家の作品の中でも特に大きな画面で制作された本作は。当時のネーデルランドではよく描かれた主題、所謂≪画家のアトリエ≫を描いた作品であるも、この頃のフェルメールの作品には殆ど見られない、明らかな寓意が込められているのが最大の特徴である。



【モデルを前に絵画を描く画家】
右手に名声を象徴するトランペットを、左手に歴史を象徴する書物を、そして頭に月桂樹の冠を被る歴史の女神クリオに扮した女性。この寓意に関しては一般的に、画家という自らが携わる職業に対する礼讃的な寓意や、絵画という芸術に対する礼讃的な寓意であると解釈されている。



【歴史の女神クリオに扮した女性】
表層的で装飾的な光の粒による表現。画面左部に大きくかかるカーテンに見られる光の粒は、画家の代表作『牛乳を注ぐ女』のパンに示されるようなポワンティエ技法(点綴法)による圧倒的な質感表現から、より表層的で装飾的な点描表現へと技巧的、表現的な変化をみせている。



【表層的で装飾的な光の粒による表現】

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