Description of a work (作品の解説)
2004/09/01掲載
Work figure (作品図)
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デルフトの眺望

 (Gazicht op Delft) 1659-1660年
98,5×117,5cm | 油彩・画布 | マウリッツハイス美術館

数少ないフェルメール作品の中でも一際貴重な風景画作品のひとつ『デルフトの眺望』。本作はロッテルダムとデン・ハーグとの中間に位置するオランダ南ホラント州の都市で、画家が生まれ生涯を過ごした≪デルフト≫の朝七時頃(作品内の時計塔は同時刻を指している)の街並みを描いた風景画であるが、街の前景に影を、後景に光を当てる光彩描写や、理想的な美しさを求め現実の街の姿を変革し描いた表現は、同時代に制作された風景画の中でも特筆に値する出来栄えを示している。画面中央の石橋の左右に配されるスヒーダム門(時計塔)、ロッテルダム門は本来この視点からだと平行に見えるはずであるが、構図的により調和性を求めたフェルメールは、右側のロッテルダム門を外側を向くように再構成している。また17世紀当時デルフトの象徴であり同地の英雄オラニエ公ウィリアムが埋葬された新教会は、朝日に照らされ画面内で最も輝きを放っている。本作は描かれた16世紀当時から評価が高く、1696年におこなわれた画家作品の競売では最高価格200ギルダーで、1822年にマウリッツハイス美術館が購入した際には2900ギルダーの値がつけられたことが資料に残されている。なおマウリッツハイス美術館で本作を観覧した20世紀フランス文学を代表する作家マルセル・プルーストは、後に「あの絵画を見て、私は世界で最も美しい絵画を見たのだと悟った」と語り、自身の傑作『失われた時を求めて』に重要なモチーフとして登場させている。


【全体図】
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運河から出航する漁船。画面中央の石橋の左右に配されるスヒーダム門、ロッテルダム門は本来この視点からだと平行に見えるはずであるが、構図的により調和性を求めたフェルメールは、右側のロッテルダム門を外側を向くように再構成している。



【出航する漁船】
17世紀当時デルフトの象徴であり同地の英雄オラニエ公ウィリアムが埋葬された新教会。街の前景に影を、後景に光を当てる光彩描写や、理想的な美しさを求め現実の街の姿を変革し描いた表現は、同時代に制作された風景画の中でも特筆に値する出来栄えを示している。



【当時デルフトの象徴≪新教会≫】
影がかかるスヒーダム門(時計塔)。本作は、画家が生まれ生涯を過ごした≪デルフト≫の朝七時頃(作品内の時計塔は同時刻を指している)の街並みを描いた風景画で、今なお風景画の最高傑作のひとつとして評価されている。



【影がかかるスヒーダム門(時計塔)】

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