Description of a work (作品の解説)
2008/07/29掲載
Work figure (作品図)
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薔薇色の衣装のマルガリータ王女


(Infanta Margarita hacia los tres años) 1653-54年頃
128.5×100cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館

17世紀スペイン・バロック絵画最大の巨匠ディエゴ・ベラスケスが晩年に手がけた一連の傑作的王族肖像画作品のひとつ『薔薇色の衣装のマルガリータ王女』。本作に描かれるのはベラスケスが、その成長を記録するかのように晩年にかけて連続的に制作したスペイン皇女≪マルガリータ・テレサ≫が3歳の頃の姿である。マルガリータ王女は、1651年に当時のスペイン国王フェリペ4世と後妻(2番目の妻)であるマリアーナ・デ・アウストリア(マリアーナは皇帝フェルディナント3世の子供)の間に生まれた最初の娘で、幼い頃から当時スペインにとって脅威となっていたルイ14世が統治するフランスに対抗するために、ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝レオポルト1世との政略的婚姻(※この婚姻によってスペインとオーストリアの同盟が成立した)が定められていた(その後、マルガリータは22歳で没した)。本作はマドリッドの王室からオーストリアのハプスブルク家(王室)へ贈られた贈呈画の最初の作品であり、本作以外にもマルガリータ王女が5歳の時と8歳の時の肖像画もウィーンへと贈られている(双方とも現在、ウィーン美術史美術館に所蔵されている)。本作に描かれるマルガリータ王女の姿はベラスケス晩年の描写的特長である闊達で軽快な動きを示す独特の筆触によって表現豊かに描写されており、公式性が重要視される王族の肖像画でありながら、画家が晩年に辿り着いた絵画性を存分に示している。また色彩表現においても、王族独特の品位と子供の愛らしさを同時に感じさせる豪華な衣服の薔薇色や輝くような絹地の銀灰色と、重厚感に溢れる絨毯やカーテンの色彩的対比や、画面左側に配されるガラスの花瓶に入った静物の描写は特に秀逸の出来栄えを示しており、観る者の目を奪うばかりである。

関連:『白い服の王女マルガリータ・テレーサ(5歳)』
関連:『青い衣服を身に着けたマルガリータ王女(8歳)』


【全体図】
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スペイン皇女≪マルガリータ・テレサ≫3歳の姿。マルガリータ王女は、1651年に当時のスペイン国王フェリペ4世と後妻であるマリアーナ・デ・アウストリアの間に生まれた最初の娘で、ルイ14世が統治するフランスに対抗するために、幼い頃からハプスブルク家のレオポルト1世との政略的婚姻が定められていた。



【皇女マルガリータ・テレサ3歳の姿】
ベラスケス晩年の大きな特徴である闊達で軽快な動きを示す独特の筆触。本作は、公式性が重要視される王族の肖像画でありながら、画家が晩年に辿り着いた絵画性を存分に示しているほか、衣服の薔薇色や輝くような絹地の銀灰色と、重厚感に溢れる絨毯などとの色彩的対比も秀逸の出来栄えを示している。



【闊達で軽快な動きを示す独特の筆触】
画面左側に配されるガラスの花瓶に入った静物。本作はマドリッドの王室からオーストリアのハプスブルク家(王室)へ贈られた贈呈画の最初の作品であり、本作以外にもマルガリータ王女が5歳の時と8歳の時の肖像画もウィーンへと贈られている。



【ガラスの花瓶に入った静物】

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