Description of a work (作品の解説)
2005/04/01掲載
Work figure (作品図)
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ラス・メニーナス(女官たち)

 (Las Meninas) 1656-57年
318×276cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

スペインバロック絵画の巨匠ディエゴ・ベラスケス最大にして不朽の名作『ラス・メニーナス(女官たち)』。当時のスペイン国王フェリペ4世の娘である皇女マルガリータを中心に、数人の女官たちを描いた集団肖像画である本作は19世紀頃に、描かれる内容から≪ラス・メニーナス(女官たちの意)≫と呼称されるようになったが、制作された当初は≪家族の絵≫もしくは≪王家一族≫と呼ばれていた。画面中央には豪奢な衣服に身を包んだ皇女マルガリータとその女官であるドーニャ・マリア・アウグスティーニャ・デ・サルミエントが描かれている。その周囲には左からドーニャ・イザベラ・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、一匹の犬を踏みつける矮人ニコラシート・ペルトゥサートが配され、後ろには王妃侍女であるドーニャ・マルセーラ・ウリョーアと、顔に影がかかるドン・ディエゴ・ルイス・デアスコーナが控えている。そして画面最奥の鏡には国王フェリペ4世と女王マリアーナが映っており、この情景を温かく見つめていることが示されている。さらに画面左側へはベラスケス本人と推測される画家が筆を手にしながら、大画面の画布(カンバス)へ(おそらくは)国王夫妻の肖像画を描いている姿が配されている。これは一般的に、王室に仕えるという画家の自負と、真実的な自画像の意味合いを、あたかも(本作を)観る者へ視線を向けるような姿で表現したものであるとの説が有力視されている。スペイン独自の厳しい明暗対比(陰影法)による写実性豊かな描写手法を用いながら、当時の王室の生活の情景を、見事に計算された構図でありありと表現した本作は、多くの批評家や美術愛好家が古典絵画の傑作として認めてきた作品でもあり、今なお人々を魅了し続けている。なお本作とほぼ同時期にベラスケスによって制作された皇女マルガリータの単身肖像画『白い服の王女マルガリータ・テレーサ』が嫁ぎ先であるウィーンの美術史美術館に所蔵されている。

関連:1656年頃制作 『白い服の王女マルガリータ・テレーサ』


【全体図】
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スペイン独自の陰影法で描かれた皇女マルガリータとその女官であるドーニャ・マリア・アウグスティーニャ・デ・サルミエント。当時の王室生活の情景を、画家は見事な構図の集団肖像画で表現した。



【女官と皇女マルゲリータ】
着付けをする三人の女官たちが、構図の中に心地よいリズムを与えている。左からドーニャ・イザベラ・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、矮人ニコラシート・ペルトゥサート。後ろには、王妃侍女であるドーニャ・マルセーラ・ウリョーアと、顔に影がかかるドン・ディエゴ・ルイス・デアスコーナが控えている。



【着付けをする女官たち】
この絵筆を持つ男はベラスケス本人とされる。本作の中でベラスケスが描いているのは、時の国王フェリペ4世と女王マリアーナで、画面中央やや左の壁に掛けられる鏡に両人が映る。



【ベラスケス本人の自画像】

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