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自画像 (Self-Portrait) 1622-1623年頃
116.5×93.5 | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館 |
17世紀に活躍したフランドルの代表的な画家の中で傑出した肖像画家としても知られるヴァン・ダイクの若き『自画像』。本作はヴァン・ダイクが画家として独立した頃までに描かれた自画像の中で最も洗練された表現がされており、古典的情景を感じさせる風景描写と、端正な面持ちで自信に満ちた若々しい画家の表情や女性的な洗練された指先の表現は特筆に値する。また深みのある青みがかった黒色に近い衣服はやや荒々しいタッチで描かれ、全体的に暗く表現された画面内でヴァン・ダイクの顔に射すハイライトは印象的であり、本作における画家の洗練された技量が示される一例である。なお画家が14歳の頃に描いたと推測される最初期の自画像がウィーン美術アカデミー付属美術館に所蔵されるほか、晩年に手部分を修正したいることが判明している1617-18年頃の自画像や、1620-21年頃に制作された本作により近い構図の自画像などが知られている。
関連:ヴァン・ダイク最初期の自画像(1614年頃制作)
関連:1610〜1620年代前半の他の自画像
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